冬の尾瀬
尾瀬尾瀬は一般の方々にも良く知られた山域で、むしろ山というより観光地というイメージでとらえられているような気がします。しかし、ここは、至仏山、燧ケ岳など大きな山を擁する山域です。
春の水芭蕉、夏のニッコウキスゲなどは有名で、よくテレビや雑誌に紹介されていますが、やはり思い出に残るのは積雪期の尾瀬でが一番印象に残っています。
初めての尾瀬
それでも、初めての尾瀬は春で、まだ残雪の残る燧ケ岳を登ったのが初めての尾瀬でした。まだ、山を始めて間もない頃で、長英新道から登ってナッデクボから下山して尾瀬沼を回ってというごく一般的なコースでした。まだ、少し水芭蕉には早く、ようやく小さな花が咲き始めた頃でした。
それから、暫くは尾瀬に行く機会はありませんでしたが、前にも触れた山スキーが尾瀬を定期的に訪れるきっかけになりました。
積雪期の尾瀬
積雪期以外では、車またはバスでアプローチは便利で多くの人が尾瀬を訪れて大変な人出のようですが、積雪期は豪雪のため、多くの道路は閉鎖されて、長大なアプローチになります。鳩待峠側の入山口も戸倉から約10km余りも歩いて入山する事になります。スキーを履いても1日仕事で、早朝に戸倉を出るとだいたい、午後に鳩待峠に入れる感じです。
積雪期の尾瀬は、静かなもので、その長いアプローチのためか、通常は訪れる人も少なく、学生が長い休みになる3月の中旬から下旬以外は、余り多くの人に会ったことはありません。せいぜい、他に1パーティ位という感じで静かで貸切という感じで、山スキー好きにはたまらない山域でした。
よくよく、考えてみると、好きな山は、静かな人気のない山なのかもしれません。
山スキー
その深い雪と、なだらかな山は、山スキーには格好の斜面で、特に至仏山の木の無い大斜面はたまらないものでした。そんなわけで、大変とはいえ、ある時期は年中行事の一つとしてほぼ毎年訪れていました。
秘密のねぐら
雪が豊富なので、雪洞を掘るには最適で特にテントを持たなくても大丈夫ですが、実は鳩待峠の小屋の屋根の軒下は格好の宿泊場所でした。屋根の軒なので雪が空洞になっていて、外から少し雪を崩して整地すれば短時間で格好のねぐらとなり、少人数で週末に行くには荷物も軽く出来てよく利用していました。最初の頃はそれを知らずに、テントを張ったり、雪洞を掘ったりしていましたが、ある年尾瀬で会った単独の登山者に教えてもらって以降、その秘密のねぐらを使っていました。
一度だけ日帰りで至仏山の格好を試みたことがありますが、若かったから出来たもののえらく疲れたのを覚えています。
その他の尾瀬
あとは、高校生の合宿に講師として招かれて、一度だけある県の高校の山岳部が集まって行われる講習会みたいなものに行ったことがありました、その時は高校生と一緒に「わかん」を履いて戸倉のスキー場から富士見峠の小屋に入って、ラッセルや、雪洞掘り、地図とコンパスの使い方などを指導した事がありました。今思えば、高校生でこの時期の尾瀬を体験できるその企画は素晴らしいものだと思いました。その時期小屋は完全に埋もれており、生徒、先生が皆で小屋の入り口の除雪作業をして、数時間の作業の末小屋に入ったのを覚えています。幾つかの学校の生徒は小屋の外でテントを張って泊まっていました。
それから、だいぶ後になって、福島県側の桧枝岐から、裏燧を登った事がありました。初夏のことで、人は多かったですが、群馬県側のそれに比べればまだまだ静かで、途中結構な残雪もあって結構気に入ったルートでしたが、残念ながらそれ一度きりでその後訪れるチャンスは今のところありませんでした。でも、また何時か言ってみたいルートです。
一般の人と比べると、結構違う意味での尾瀬が好きですが、尾瀬は関東地方、東京に近いところにありながら、冬は辛うじてその山深さを保っている感じに思えます。いろいろ議論もあるようですが、やはり、自動車の規制など入山者を抑える意味で必要なように思えます。反面、気軽に素晴らしい自然を一般の人も味わえるという意味では、必要なのかもしれませんが。。。でも、一度、雪に閉ざされた尾瀬を見てみると、改めてその素晴らしさがわかるのではと思います。夏には決して見ることの出来ない尾瀬の一面がそこにあるように思います。上の燧ケ岳が尾瀬ヶ原の向こうに見える写真でそのイメージだけでも感じ取っていただければと思います。
(つづく)
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