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Mt. Whitney 登山を科学する (10) ~ まとめ

Trail Campの星空


2016Mt. Whitneyの登山許可の状況
前回も書きましたが、2016年のMt. Whitneyの予約状況の更新です。Mt. Whitney Lottery当選者の予約完了期限が過ぎて、51日から予約されなかった枠が、予約できるようになっていました。最初の数日間は夏の期間も含めて空きがありましたが、今日時点では、早い時期と、遅い時期以外の空きは既に埋まってしまったようです。それでも、まだ、空きがあるので、抽選に漏れた方で今年Mt. Whitneyを目指す方は急いでチェックされることをお勧めします。
また、キャンセルが出る事も考えられるので、諦めずに時々空き状況を見てみると、空きが出る可能性もあるかと思います。実際私も、キャンセルした事があります。

まとめです!
これまで、改めて過去のMt. Whitney ハイキングのトラッキングデータを分析した結果に基づいて、何回かに分けてMt. Whitney登山について考えてきましたが、今日はそのまとめです。取りあえずこの連載は今回で終わりですが、これに関連した考察は続けて行きたいと思いますので折をみてまたアップデートします。
1.短期間の4,000m級の山の登山について
これまでのデータと経験からして、23日程度の登山期間では行動に対する体の順応は殆ど期待できないと言えます。また、高山病等の明確な自覚症状が無くても、行動中の、心拍数が増加したり、ペースが落ちているなどの客観的な影響は表れていると考えられます。特に、高山病の影響が出始める標高では、「頭」で影響が自覚されていないので意図的に意識して影響を最小限に抑えた方が良い。
2.所要時間
少なくても私の過去のデータから見ると、歩くペースを変えても、「普通」に目的地に向けて行動する限り、所要時間は余り変わらないようです。もちろん、写真を撮ったりなど、意図的に行動を遅くしている場合は当てはめる事はできませんが、疲れてきたら普通に休憩を取って目的地を目指すというような行動をする場合は大差がないような結果が出ています。
3.ペース配分
高度が上がる事で、心拍数が増えるわけで、体にかかる負荷を一定にしようとするとペースを落とす必要があります。こうした、マラソンなどで考えられているペース配分はハイキング、登山においても有効であると考える事ができます。
特に登山やハイキングでは、速く歩いて休憩を頻繁に入れるよりは、ゆっくり歩いて休憩時間を抑える方が、感覚的には楽な登山、ハイキングになると考えられます。
4.トレーニングの効果、意義
心拍数とペースの関係を考えると、マラソンなどの長距離競技同様、トレーニングにより、体のパフォーマンスを改善できる可能性は高いと考えられます。同時に、自分の運動中の心拍数を把握する助けにもなり、トレーニングを行う意味は大きいと考えられます。特に、短期間の4,000m前後の登山ではマラソンなどと近い体のパフォーマンスが要求されると考えられるため有効な準備の一つだと考えられます。
5.マラソンとの違い
ここで一つマラソンとの違いを挙げておくと、登山やハイキングの場合は宿泊を伴う事も多く、「睡眠」を取るという事が要素の中に入ってきます。運動中の呼吸は意識的に深呼吸をしたりできるので、ある程度は経験で補う事は可能であると考えられますが、睡眠中はこれをコントロールするのは難しく、ある標高で宿泊すべきかどうかの判断が必要になってくると思います。多くの人の場合、Mt. WhitneyTrail Campでの宿泊は問題ないようですが、標高を考えると問題がある人も出てくる標高だと思います。この辺の判断基準は、残念ながらこれまで見てきたデータからは判断するのが難しいと思います。この辺をどう判断するかは各自、自分に合った方法を見つける必要があるかと思います。場合によっては命の危険に直面する可能性もあるだけにその辺は各自で考えて下さい。
ただ、運動から休息に入った場合の心拍数の推移はある程度参考になるデータだと思います。
以上が、今回のシリーズの私なりのまとめになります。こうした角度での考察が少しでも読者の方の登山、ハイキングの助けになればと思います。
取りあえず、この連載はこれで終わりにしたいと思います。毎回読んで下さってどうもありがとうございました。


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