スキップしてメイン コンテンツに移動

Mt. Whitney 登山を科学する (10) ~ 理論的限界

Trail Camp
Mt. Whitney Lotteryの当選者の予約期限が過ぎました!
4月末日で、先のMt. Whitney Lotteryで当選した人の許可予約期限が過ぎました。そして、5月1日より、予約されなかった枠が早い者勝ちで予約できるようになっています。
予約のサイトを見ましたが、夏の時期である7月下旬から8月にかけては余り空きがありませんが、6月から7月上旬、また9月下旬には幾つか空きがあるようです。私は既に都合の良い日程を見つけて予約していますが、当選に漏れた方で今年、Mt. Whitneyに登りたい方は早めにチェックされる事をお勧めします。時期によっては週末にかかる日程も今日の時点では空いていました。

さて、今年の予約の話はこの辺にして、先日からの続きです。今日は理論的な限界について考えてみます。



理論的な限界
恐らく、Mt. Whitneyのハイキングなると理論的に登れない人が存在するはずです。つまり、LT相当を越える心拍数での運動時間が長くなると、運動が継続できなくなり、休憩を強いられます。休憩によってある程度リカバーしてハイキングを続けるという事が必要になります。標高が上がるごとに、体にかかる負荷は同じ運動量でも増加していくので、必然的にペースを落とす必要がでてきますし、だんだん回復にも時間がかかる事になります。この中で、ある人がある標高で実践できるペースとその継続時間、そしてリカバーにかかる時間を足していくと距離は固定なので、予想所要時間が出てくる事になります。これが、日帰りの場合24時間を越えればその人は往復を達成できない事になります。概算でも、私の過去の所要時間から見積もっても12時間から15時間程度は往復でかかる事になるので、人によっては1日での往復は難しい人も出てくると考えられます。
これは宿泊をしたとしても、同じことで、絶対的には48時間ですが、現実的には睡眠時間も必要ですから、最低睡眠時間を見積もって、予想行動時間が行動可能時間を越えれば無理という事になります。
Mt. Whitney Trailでのハイキングを考えた場合、Trail Campより上部でキャンプをしないと仮定すれば、Trail Campから頂上の往復がキーになります。それより下の部分は行動時間をある程度短くすることが可能なので、恐らく大きな制限にはならないからです。Trail Campから頂上の往復は大体15km前後(10マイル弱)になります。Trail Campが標高約3,600m前後で富士山よりやや低い標高で、頂上が、標高4,421(14,505 feet)になるので約800m強を登る事になります。キャンプをしない前提なので、荷物は最小限でよく、再びTrail Campに宿泊する事にすれば、通常の往復にかかっている時間は、大体67時間程度なので、多くの人は恐らく登行が可能であると思われます。この辺りが、標準的なガイドブックが、23日で紹介している理由の一つではないかと思います。
これはあくまで、休憩によりリカバーが可能という前提の話です。通常の運動習慣がない人の場合、LT相当の心拍数が低い事も考えられます。体調が悪い場合、私の場合でも、安静時の心拍数が毎分100回を越えている事がありますが、このような状態では、少し動くだけでも心拍数は簡単に跳ね上がり、仮に完全に止まって休憩をしたとしても、心拍数が余り下がらない状態になる可能性もあるわけです。こうした状況の場合、高山病の症状が顕著化する可能性が高く、その人の限界点になる事になるので、その時点でそれ以上の標高に行くことは危険で、すぐに下山をして高度を下げる必要が出てくるわけです。また、宿泊する場合、その標高で睡眠を取るわけですが、睡眠中は意図的に呼吸数をコントロールする事ができないので、高山病の症状が悪化する可能性があります。そうなると、場合によっては宿泊する場所の標高はもう少し標高の低い高山病の影響が少ない高さにする必要が考えられます。仮にTrail Campでの宿泊に不安があるとすると、必然的に手前の標高の低い場所でキャンプする事になるので、頂上往復の所要時間が増える事になります。また、Trail Campの宿泊に不安があるとすると、Trail Campより上部での行動にも疑問が出てくるので、場合によっては頂上往復が難しくなる可能性も高くなると考えるのが自然です。

そう考えると、特に自分の状況がこの限界に近い場合は、トレーニングでLT相当の心拍数を改善する事で、予測行動時間を改善したり、Trail Campでの滞在の負担を軽減できる事になるので、トレーニングをする事で、頂上に行ける可能性を高める事ができると考えられます。そうした意味で、このような比較的長距離の行程と、高度の場合、事前にトレーニングをして準備する事は重要だと思います。

(つづく)

コメント

このブログの人気の投稿

BaoFeng UV-5R ~ 中華トランシーバ その後

BaoFeng UV-5R  格安の中国製トランシーバーを入手して約1ヶ月余りたちました。その後の報告です。 静かなアメリカのV/UHF帯  まだ家にアンテナを立てたりしていませんので、基本的には付属のアンテナに取りあえずつけた、マグネットベースのアンテナで時折144MHz帯と、430MHz帯のFMを聞いています。前の投稿で少し触れましたが、私の住む北カリフォルニア(サンフランシスコ近郊)では、殆ど普通のFM(Simplex)での交信を耳にしません。耳にする交信はほぼ、リピーター経由の物と言うのが現状です。一方で、リピーターの数はかなりの数があって、インターネットで調べると、この辺りはどこに行っても複数のリピーターにアクセスできますし、周辺の高い山の上などにも設置されていて、リピータのカバーエリアも網羅されている感じです。  そんなわけで、普通のアナログのFMで使えるチャネル(FM Simplex)は、144MHz帯で26チャネル、430MHz帯に至っては3チャネルしかありません。一方でかなりの帯域がリピータ用として割り当てられています。 BaoFengを使うたってにあたって  最初は、アマチュアバンド内をスキャンして誰か交信していなか探していたのですが、このモデルのスキャンは余り速くはなく、かなりの時間がかかってしまいます。実際に話をしているのを見つけるには、もう少し的を絞らないと効率が悪いので、必要なチャネルをプログラムして、プログラムしたチャネルをスキャンする方が効率がよい事に気づきました。今回入手した、UV-5Rというモデルは、全部で128チャネルをプログラムする事ができます。この辺は、日本の八重洲とか、ICOM、KENWOODなどの物は1000チャネルとかプログラムできるので、それを考えると少ないと言えますが、実用上は取りあえず、大きな問題ではないようです。  それで、まずはどのようにプログラムするかですが、まずは、全部で29あるFM Simplexのチャネル29をプログラムする事にしました。実態を考えると余り使うケースはないと思いますが、それでもハイキングなどに行ったときに仲間と連絡に使うには便利ですが、周波数を覚えるのも大変なので予めプログラムしておくことにしました。これで、128チャンネルのうち、29が決まったので

GPSデータの解析 (3) ~ TCXファイルの中身

TCXのデータの例 実際のデータは? 実際、取りあえず試用のプログラムは既にあって、データを読み込めるようになっています。でも、興味がある方もいらっしゃるみたいなので、もう少し詳しい中身について今日は書いてみます。 上の例が、TCXファイルの例です。これは、昨年Mt.Whitneyに行った時の冒頭のデータを一部抽出した物です。一連のデータとして、時刻、位置情報(緯度と経度)、標高、心拍数などが入っています。TCXファイルには、距離も入っているのが分かるかと思います。これは、スタートからの積算距離になっています。 先にも書きましたが、TCXファイル自体は、XMLファイルなので、ファイルはタグを基に、そのタグの階層で構成されています。例では一部を抜き出していますが、「Trackpoint」というタグは別の上位の階層のタグに含まれていて、この前後には、別の「Trackpoint」が同じレベルで羅列されているような形式になっています。このタグ一つ一つが個々の時刻のデータになるわけです。 この「Trackpoint」の下位には、個々のデータが別のタグで含まれているのが分かるかと思います。 基本的に、各タグのデータは最初の「<>」で囲まれた所からスタートして、</>という、同じタグで、先頭に「/」が入った所で終わる様になっています。 つまり、個々のGPSのトラックデータが欲しい場合は、このTCXファイルの場合、「Trackpoint」というタグを探して、その中のデータを抜き出していけばよい事になります。ファイルも、テキスト形式のファイルなので、少々プログラムに慣れた方ならば簡単なプログラムでデータを抜き出すことができるわけです。 GPXファイルは? GPXの同じデータの例 さて、これが同じ時刻のデータをGPXファイルから抜き出してみました。こちらも同じXML形式なので、似ていますが、少し書き方が違うのが分かるかと思います。こちらの場合は、「trkpt」というタグに個々の時刻のデータがあります。位置情報は最初の「trkpt」のタグの中に埋め込まれていて、その後に、個々のデータが少し別のタグで入っているのが分かるかと思います。こちらの場合、積算距離の情報は入っていないので、位置情報から自分で計算する必要があります。これは、調べてみたのですが、少

バッティングセンター ~サンフランシスコ ベイエリアにもあります!

折れた金属バット! サンフランシスコベイエリアのバッティングセンター 今週も暑さでアウトドア関係は休止中でした。実際は風もあって気温はそこそこ高いのですが割りとすごし易い週末でした。日本語の補習校の集中授業があって子供たちもちょっと大変なので、現地校が夏休みに入っても遠出を控えました。 本格的な夏休みの家族イベントももう暫く先送りという事になっています。 そんな中この週末はバッティングセンターに行ってきました。 バッティングセンターは「Batting Cage」と呼ばれていて、数はそれほど多くないもののこのエリアにも幾つかあって、たまに行って遊んでいます。今日は All Star Academy   というSanta Claraの施設に行ってきました。     2901 Mead Ave Santa Clara 95051 に行ってきました。平日は正午から午後9時まで週末の土日は、午前9時から午後6時まで営業しているようです。 日本では屋外にゴルフの打ちっぱなしの練習場のようにネットを張って営業している施設が多いと思いますが、このエリアでは日本に近い屋外営業もありますが、倉庫などの屋内にネットを張って営業しているタイプの施設も多く、今回の施設は屋内タイプでした。 システムは、プリペイカードを買って1回(20球)で3ドルで、幾つか球速の違うブースを選んで遊ぶところでした。バット、ヘルメットは無料で貸してもらえました。野球とソフトボールも選択できまるようになっていて、子供たちは球速の遅いブースやスローピッチのソフトボールを選んで楽しんでいました。 日差しが強く暑い夏のアクティビティには屋内のバッティングセンターも悪くないようでした。 金属バットが折れた! さて、家族で楽しんでいたのですがちょっとしたハプニングが一件ありました。比較的球速の早いブース(60マイル/時間のソフトボール)で遊んでいたところ球がバットの根元に近い部分にあたり明らかに違う音がしたと思ったら、次の球を打ったところなんと金属バットが真っ二つに折れてしまいました。 幸い折れたバットは人のいない方に飛んで怪我はありませんでしたが、ちょっとびっくりしました。 折れた破片も係りの人がすぐに回収して事なきも得ましたが、金属バットも折れるのですねぇ~