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Mt. Whitney登山を科学する (5) ~ 別の角度でグラフを見てみる

標高約100mごとの平均登山速度の推移
(横軸は標高[m])

今年のMt.Whitney Lotteryの結果

今日は、今年のMt.Whitney Lotteryの結果が発表になりました。残念ながら今年も抽選から漏れてしまったようです。今年も宿泊の許可で夏から秋にかけての幾つかの週末で応募しましたがだめだったようです。読者の皆様はいかがでしたか?

そんなわけで、4月以降空きの日程を見てみようかと思っています。

さて、昨日、GPSのトラッキングデータ解析支援ツールを公開しましたが、いかがでしょうか?
今日は、ツールを少し変更して、標高差約100mごとにデータをサンプルして平均の速度と心拍数を見てみる事にします。元のデータは、昨年8月のMt.Whitney Trailを歩いた時のデータで、Whitney PotalからTrail Campまでのデータです。
冒頭のデータが各区間の速度です。このデータは、標高の情報はGPSからの情報で実際の標高とはずれがあるのであくまで相対的な比較としてみて下さい。やはり、徐々にペースが落ちているのが先日のデータよりもわかりやすいかと思います。

 心拍数の推移(横軸が標高)

上のグラフは、同じようにサンプルしたデータで平均の心拍数を見ています。先日のグラフでは心拍数はほぼ一定のようにみえましたが、今回のサンプルの仕方だと、徐々に上昇しているのが分かるかと思います。
なお、今回のデータは途中で何回か衛星とのコミュニケーションが途切れたりして何回か計測値がシフトしています。なので、標高の情報は参考程度にみて下さい。前回のデータや約60秒ごとに平均を見ていますが、今回は標高差約100mごとなので概ね20~30分の平均になっています。

また、途中の休憩時間も含んでいるので休憩が含まれている区間はやや低めに、また休憩直後はペースが早めになる傾向があるのでペースが速くなったように出る傾向はあるようです。

いずれにしてもペースが落ちていくのは間違いがなく、心拍数が上昇しているのはペースの低下を抑えようとして、少し高めの心拍数で歩く傾向があるのかと思います。

運動強度を同程度に維持しようとするとさらにペースを落とす必要がある事になります。

この時は、Trail Campまでの行動でしたが、この後に頂上を目指す日帰りなどの場合はもう少し3000mを過ぎてからのペースを抑えて後半のペースの落ち込みを大きくしないで登るのがデータから考えられるペース配分かと思います。

データを見ていて思うのは、どのように平均を求める区間を決めるかでデータの傾向も違って見えてくると言う事です。大事なのはいろいろな区間の切り方でデータを眺めてみて、全体の傾向をつかむ事だと思います。

今回のデータを見てみると、心拍数を毎分160回程度を上限にペースをコントロールして登ったデータですが、実際の平均値を見ると高き部分で毎分155回を越える程度でした。実際に目標にする心拍数はもう少し低めで、恐らく私の場合は毎分150回前後にするともう少し楽に登れるのではとデータを見てみて思います。

同様に、翌日のTrail Campから頂上のデータを見てみます。

速度の推移(Trail Campから頂上往復)

心拍数の推移(Trail Campから頂上往復)

このデータを見ると前半の登りのペースは前日の後半のペースとほぼ同じくらいで、毎秒0.6m程度ですが、心拍数はかなり低い値で推移しています。幾つかの理由が考えられますが、一番大きいのは荷物の量だと思います。Trail Campまでは宿泊装備を背負っての行動になりますが、Trail Campから頂上の往復では最小限の荷物なので、当然体にかかる負荷は減ります。さらに、一晩休んだことで体に余裕があるというのがあるかと思います。それで、心拍数は前日の後半は毎分155回に達していたのに対して概ね毎分130回以下で、頂上直下で気合を入れてペースを上げた時でも毎分135回程度でした。この日はペースを上げようと思えば挙げられたのですが、早朝の暗い中での行動という事もあり、休憩を少なくするために意図的にゆっくりと歩いていました。
感覚的にも、前日より高度が上がっているのに楽に登っています。荷物の量が減って、負荷が下がっているのが大きいと思います。

このデータを見ても私の場合は明らかに心拍数を毎分140回から150回で登ればもっと楽に歩けるというのが分かります。

同様の解析を別の年のデータや他人のデータと比べる事も実施していく予定です。

(つづく)

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