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Mt. Whitney 登山を科学する (3) ~ 2015年8月14日のデータを見てみる


2015年8月14日の標高の推移
(縦軸 標高、横軸 距離)

データの解析中です!

現在、プログラムをいじりながらMt. Whitney登山のデータを解析中です。まだまだ試行錯誤が必要ですが、今日は取りあえず、2015年8月14日のデータを紹介します。
 この日は、Whitney PortalからTral Campまでの行程です。

まずは標高の推移です、まあほぼ一定の勾配で登っているのがお分かりになると思います。このトレールは考えて作られている様で、殆ど一定の勾配で登るように設計されているようです。要は急な部分はスイッチバックを取り入れて、なるべく一定の勾配で登れるようになっています。グラフのデコボコは、実際はGPSの位置情報の問題が大きいようです。途中、GPS衛星のカバレッジがなくなったり、恐らく使用している衛星が切り替わったりしたようで、値が部分的にシフトしてるようです。

標高の推移が分かった所で、移動距離の推移を見てみます。これは、単位時間当たりの移動距離で、いわゆる移動速度の推移になります。

 
 速度の推移
(縦軸は、1秒当たりの移動距離[m]、横軸は標高) 

 若干特異点がありますが、ペースが標高3,000mを越えたあたりからだんだん落ちている傾向にあるように見えます。途中の移動距離が少なくなっている部分は休憩した部分です。

 
 心拍数の推移
(縦軸が1分間あたりの心拍数で、横軸が標高です)

 心拍数は最初だんだん上がっていますが、ほぼ一定の心拍数になっています。というか意識して上限を制限するように歩きました。

つまり、心拍数はほぼ一定であるのに対して、ペースが落ちているという事です。つまり、心拍数が同程度であるので、運動の強度は同じくらいとすると、標高が上がった事により、同程度の運動量を維持するためにはペースを落とさないといけないという事を示しています。ペースを落とさないと運動量が上がっていく事になって、LT相当値の心拍数を越えると、運動の継続が難しくなるという状態になるわけです。

Mt. Whitneyのように、1日から3日位の期間で登山をする場合、この標高に体が慣れる前に下山する事になるので、効率よく登る為には、心拍数を見ながら、ペースをコントロールする必要があるという事です。このコースでは標高3,000mを越えるのがLone Pine Lakeへの分岐付近になるので、この辺りから意識的にペースを落としていく登り方が、こうした心拍数と、ペースの推移からわかります。おそらく、殆どの人はこの辺りの標高では高山病の症状は出るかでないかの状態なので、それまでのペースで歩くこと自体はまだ感覚的には問題ないと思われます。しかしながら、実際に体にかかる負荷は徐々に高くなっているわけです。
ここで、高山病の影響を最小限に抑えながら登には、意図的にペースを抑えて登るとよいという事になります。

データを見る事でこうした状態が客観的にわかるので、登山のペース配分を事前に設定できるわけです。これが私の推奨する心拍数登山です。

こうした観点で、別のMt. Whitney登山のデータも見ていく事にします。

(つづく)




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