ポンプタイプのフィルター
前回、ウオータートリートメントの為のフィルターのハンドルが破損してしまったという事を書きましたが、ウオータートリートメントについてちょっと書いてみる事にしました。
アメリカではアウトドアショップに行くとまず例外なくウオータートリートメントのセクションがあって色々なウオータートリートメント関連の製品が並んでいます。最近の日本の事情は分かりませんが、10年以上前私が日本で山登りをやっていた時は余り一般的ではなかったように思います。
今回、登ったMt. Whitneyの山域では、ジアルジア症の原因であるランブル鞭毛虫 (Giardia lamblia)が小川や湖に水にいる恐れがあると言われています。そうした感染リスクを低減するために、小川や湖から水を採取する際は何らかのウオータートリートメントをする事が推奨されています。一般的にアメリカでは自然の水を採取して直接飲むという事をあまりしないようです。そんなわけで、アウトドアショップではそうした製品を売っているわけです。
ウオータートリートメントのタイプは大きく分けて3種類です。
- フィルタータイプ
- 錠剤(一般的に二酸化塩素の錠剤です)
- 紫外線照射
フィルタータイプ
これは私が普段使用しているタイプで、ポンプの圧力で水をフィルターを通して、水の中の微生物、バクテリア、ウイルスなどを取り除くというものです。ウイルスまで取り除けるフィルタータイプの物は少ないですが、大抵の微生物やバクテリアは取り除く事ができます。
最近は、ポンプしないで重力だけで水を濾すタイプのものも売られているようです。
錠剤
これは、二酸化塩素を主成分とする錠剤で、この錠剤を水に溶かして殺菌するというものです。だいたい、1リットルに錠剤1個を入れて殺菌しますが、15分程度でバクテリアやウイルスは死滅するようですが、ジアルジアの殺菌には30分程度、クリプトスポリジウムの殺菌には4時間程度を要するという事で、一見簡単そうですが、完全に安全に水を飲むには4時間以上待たないといけない事になるので、私はフィルターのバックアップに携行しますが普段は使いません。
また、錠剤のにおいや味が水に残るので余り個人的には好きではありません。
錠剤タイプ、1錠づつパックされています
紫外線タイプ
これは電池の電気を使って紫外線を発生させられるスティック状の物を水の中にいれて殺菌するもので、数分で有害な微生物を死滅させることができるようです。これは、使った事がありませんが、今回、今まで使っていたフィルターが壊れた事もあるので使ってみようかと考えています。
どれを選ぶか?
どれがいいかは、それぞれ一長一短で難しい選択になるかと思いますが、いくつかを併用するのが賢い使い方ではないかと思います。
フィルタータイプは、使用後の手入れが必須で長く使うためにはきちんと手入れをする必要があります。フィルターの寿命は製品によりますが数十ガロンは充分濾せるようです。
使用後は、フィルターを前日の二酸化塩素などを用いて殺菌した後によく乾燥させてからしまいます。フィルタはカートリッジ式になっているものがほとんどで簡単に交換できます。
値段はフィルター式で50ドルから100ドルくらい、紫外線の物でも100ドル前後です。錠剤は一錠50セント位で20錠とか30錠でパックになって売っています。
いろいろ総合すると、フィルター式が手軽ですぐに水を飲めるので私は普段はこれを使っていますが、紫外線式を併用するとウイルスなども取り除けるのでより安全だと言えます。(フィルター式は通常はウイルスのような小さなものは濾せない物がほとんどです)
処理をしないと飲めないのか?
これは、はっきり言って難しいですが、何もしないで飲んだという人も結構いてほとんどは問題はおきたいない事が多いようですが、リスクは存在するのだと思います。これは、正直言って日本で沢の水を飲む際には当てはまると思います。多くの動物が生息する樹林の中の水は危険がある可能性は高まると思われます。私も長年沢の水を飲んで問題があったことはありませんが、いろいろ調べると、きちんと処理して飲む方が無難な選択だと思います。
限界は?
この種のトリートメントは、水の中の異物や微生物を取り除くのが目的で、例えば水に溶けている化学物質を取り除く事は一般にできません。つまりこれらの機器、方法で処理をすればなんでも飲用になるかというとそういう事でもありません。したがって、水を使う際はその水が飲用になるものかどうかをきちんと判断する必要があるという事です。
もう一つの方法!
もう一つ、そうした器具、薬品がない場合は、水を一旦沸騰させて飲むという方法があります。一般的に、微生物、バクテリア、ウイルスなどは数分間水を沸騰させれば死滅するので器具がなくても飲むことは可能です。ただ、冷たい水を飲みたいことも多いですし、湯冷ましを作るのは効率もよくないので、ウオータートリートメントを持参したほうが便利です。
災害対策にもこうした、ウオータートリートメントがあるといざという時に役に立つかと思います。何かの参考になれば幸いです。
コメント
コメントを投稿