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登山中の心拍数とSPO2値

 


登山中の心拍数とSPO2値

先日発表された、2020年モデルのアップルウォッチはSPO2値の計測がサポートされました。ガーミンのモデルは数年前からSPO2値の値の計測がサポートされています。

SPO2値とは、動脈血酸素飽和度の事です。よくサチレーションとも言われています。簡単に言えば、血液の中にどれくらい酸素が含まれているかを示す数値と考えれば良いかと思います。 病院などに行くと、指先にクリップする感じでつけて計測しています。

通常ならばこの値はほぼ100%に近い数値になっているのが普通です。

このSPO2を計測する医療機器は「パルスオキシメーター」と呼ばれています。 以前は非常に高価な機器で一般の人が購入するのはチョット無理がありました。

これが、数年前から医療目的外の機器が安く販売されるようになりました。

今日の話題はこのパルスオキシメーターとSPO2に関してです。

登山とSPO2値

登山をする時に心拍数は有用な指標である事は、別の投稿でお分かりいただけたかとおもいます。このSPO2値も登山で活用されている数値の一つです。

特にヒマラヤなどの超高山に上る場合に登山隊の人たちが利用しているようです。

このSPO2値を見ると、高所順応の進み具合を見極める指標になるからです。

通常のSPO2値は最初に書いた通り、ほぼ100%に近い値です。ところが、高所順応が出来ていない状態で標高が高い所に行くと、この値が著しく低下します。

標高4000m弱のMt. Whitneyのトレールキャンプでは80%を切る事もありました。明らかに高所の影響が表れている例です。ところが数日この標高に滞在して、体がその標高に慣れてくるとこの数値は正常に近い値に近づいていきます。従って、この数値を使えば、高所順化の程度をある程度把握する事が出来るという理由で、多くのヒマラヤ登山隊は利用しているようです。

実はそんなにシンプルではありません!

SPO2値は便利な値という感じがしますよね?

しかし、実際はそんなにシンプルには行きません!

実際に通常の標高でSPO2値を測ると比較的安定した数値が読めます。ところが、登山で標高の低い所から登り始めて、標高が3000mを超えるような場所に行ってSPO2値を測ると、計測値がかなりの幅で変動します。実際に計ってみるとどの数値が正しいのか判断に困るくらい数値が動きます。

実は、高所順応が出来ていない状態では、SPO2値は呼吸の仕方によって変わります。 例えば、呼吸法を工夫して、深呼吸するような方法に変えると数値は改善して比較的高い値を得る事ができます。

SPO2値が標高の高い所で下がる原因は、肺で行っている血液に酸素を取り込むところで、空気中の酸素分子の密度が低下している事によります。意識して深呼吸をして多くの酸素を取り込むことで多少の改善は可能という事になります。

これが、高所順応して来ると、変動幅が少なくなります。これは、血中の酸素が飽和状態に近づくためです。

短期の登山には余り有用ではないSPO2値

従って、2~3日で終わってしまう短期の登山では、体が高所に慣れる前に登山が終わってしまう事になります。そう考えると、短期の登山の場合SPO2値は余り効果的には利用できない数値という事になります。

長期戦になる、ヒマラヤ登山などは、体が高度に順化する時間があるのでこの数値を定期的に調べる意味は大きいと考えられます。しかし、短期の登山では利用価値は少ないという事になります。

短期の登山での利用を考えると、例えば呼吸法の練習には利用できます!数値を見ながらどのように呼吸すると高い数値を維持できるかを知るために利用すると便利です。

短期の登山には心拍数の方が有効!

そう考えると短期の登山には心拍数が有効です。心拍数を見ると、高度による影響もある程度分かりますし、実際の体にかかっている負荷も把握しやすくなります。

ペースの調整にも使えますし、登山用にスマートウォッチを選ぶ際は心拍数の計測機能があればとりあえずは十分です。

まとめ

SPO2値は長期間に渡って標高の高い山に登る場合は高所順応の程度を知る意味で有効です。しかし、短期間の登山では、体が高度に順応する前に登山が終わってしまうので、あまり有効な数値ではありません。

一方で心拍数は、高度の影響を知る上でも良い指標になります。従って登山目的でスマートウォッチを選ぶ場合は、まずは心拍数計測機能がある物を選ぶようにすれば十分です。

スマートウォッチのSPO2計測機能は、睡眠中のSPO2値の変化を見るのが目的の場合はある程度有効です。睡眠時無呼吸症候群で睡眠中の呼吸が止まる症状がある場合、SPO2値が一時的に正常範囲より低下する場合があります。睡眠中のSPO2値をモニタ出来ると、この睡眠時無呼吸症候群の発見に役立ちます。登山以外の利用を考えた場合、SPO2値が計測できるモデルの購入は別の面で利用価値があります。

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