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賢い登山方法(2) ~ もう少し余裕を持って登るために!





楽しい山登りですがやはり登りは大変です!

第2回です。

心拍数によるトレーニング

少しトレーニングに詳しい方だと、最近は心拍数に基づいたトレーニングが取り入れられて、インターネットにも多数トレーニングプランがあります。これは、心拍数に応じて運動強度を決めるというコンセプトに基づいています。私は専門家ではありませんので、詳しい理論的な部分は説明できませんが、ある程度の概念はインターネットの記事などでつかんでいるかと思いますのでそれに基づいて書いています。

何故心拍数かと言うと、心拍数とLT(Lactate Threshold / 乳酸閾値)とはある程度相関関係がある事からきています。このLTと呼ばれるものは、運動強度を上げていくとある時点で、体内に蓄積される乳酸濃度が急上昇に転じるポイントで、個人差もありますし、同じ人でも体調やその他のコンディションによってある程度幅があります。心拍数の場合は顕著にその変化がわからないのでつかみ辛いところがあるものの、ある程度は相関関係があると考えられています。
この、ポイントはトレーニングによって改善する事ができるので、目的とするトレーニングによって心拍数を決めてその範囲で運動を行うというのがこのトレーニングの趣旨です。

乳酸は運動により発生する疲労物質の一種のようですが、LTより低い運動強度では、運動しながら乳酸を体内で処理して蓄積しないようになっているようです。所がLTをこえると処理能力が追いつかなくなり、体内に蓄積するようになって、運動の継続を阻害するようです。

この辺は、インターネットの情報の受け売りで、完全に正しいがどうかちょっと自信がありませんが、概念的にはこんな感じのようです。

 どう登山に関係があるか?

さて、前置きが長くなりました。では、これがどう登山に関係するかという事になります。
登山とは、比較的長時間動き続けるという運動で、マラソンとは運動強度の点では違いがあると思いますが、一日に長い時には10時間前後、場合によってはそれ以上の時間動かなければいけないという運動です。当然長時間動き続けるためには、このLT以下のところで運動すれば、上の理屈によれば長時間運動が継続できる事になるわけです。もちろん、筋力など他の要因があるのでそれだけではありませんが、これは一つの大きな要素になるわけです。

では、登山で運動の強度を決める要素を考えてみましょう。
私が思うのは:

  • 荷物の重さ
  • ペース
  • 登りの斜度
  • 標高
  • その他(体調や天候など)
 が大きな要因だと考えられます。
いずれの場合も、心拍数が上昇すると辛くなってくるのはご理解頂けるかと思います。

ここで、心拍数の上限を設けるとどういう事になるかというと、変える事のできる要因は実は、ペースだけになります。ただし、何人かでパーティを組んでいる場合は、荷物の重さはパーティ内で調整する事ができますが、ここでは、一旦山に入ってしまえば、荷物はほぼ一定とすると、調整できるのはペースだけです。

 そして、登山中に変わる外的要因が、登りの傾斜や標高です。その他の要因もありますが、大きいのはこの2つだと考えられます。登りの傾斜は、坂が急になるほど運動強度は強くなります。従ってペースダウンをして運動強度を調整するという事を無意識に行っているわけです。経験の多い人は、過去の経験を基にペースを決めて、調整しているはずです。天候や体調も同様で、体調が悪い時や状態が悪い時にはそれなりに、体が負荷を察知して自ずとペースが調整されるはずです。標高も一つの要因になります。標高が高くなると、気圧が下がるため、単位体積あたりの酸素濃度が低下します。したがって、一回の呼吸で取り込む事の出来る酸素の絶対量も減る事になります。運動するのに必要とするエネルギーはこの酸素を使って生み出されるわけです。当然取り込む量が減ると、呼吸や、心拍数を上げて補う必要がでてきます。必要な酸素量と、呼吸によって取り込める酸素量の均衡がくずれると、体内の酸素を使う事になり、無酸素運動状態になっていきます。この状態が長く続くと、必要な酸素の絶対量が不足して体に変調がでるわけで、いわゆる高山病になるわけです。

私たちが、苦しくなると立ち止まって息を整えたりするのは、一時的に運動強度を落として、体内で不足した酸素を取り込んで回復を促す行為と考える事ができるわけです。

斜面の傾斜などは、ある程度経験で感じ取る事もできると思うのですが、標高の要因が入ってくる、標高にして2500m~3000mを越えるような登山では、標高の変化も考慮する必要が出てくるわけです。しかし、意外にこれは難しい事です。実際は、呼吸と、運動強度のバランスが崩れたとしても、すぐに自覚症状がでるわけではないことが多く、ある程度の時間はそのまま運動が継続できてしまう点が問題を複雑にしています。

そこで、心拍計で一つの客観的要因として、心拍数を指標にしてペースをマネージできれば、そうしたリスク要因を含めた形で登山する事ができるわけです。もちろん、心拍数には、斜面の傾斜や、ペース、体調などを含んだ形で現れますので、これを基にペースをコントロールすれば、その時の状態にあったペースをつかむ事ができるということです。


 いかがでしょう、いろいろインターネットで収集したウンチクの集大成みたいになってみましたが、納得していただけたでしょうか?

ポイントは


  • いろいろな条件で運動(登山)する場合、辛くなってくると心拍数が上がる。
  • 心拍数に上限を設けて、長く運動が継続できる心拍数になるように運動強度(ペース)を調節する。
  • 客観的指標なので、感覚による誤解やずれの問題がおきにくい
ということです。

それでは心拍数の上限はどうやって決めたらいいか?という問題になりますが、その辺は次回に書くことにします。

(つづく)




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