インターバルの心拍数
きつい登山
登山で「きつい」と感じるのはどんな時でしょうか?十数時間に及ぶ長時間行動でしょうか?
私は、急な登りが一番きついと感じるような気がします。確かに、長時間行動はきついのですが、こちらは、どちらかと言うと「じわ~っと」来る感じの「疲労」であって、余り「きつい」という感じより、「疲れた~」という感じが強いように思えます。
さらに言うと、急な登りは暫く登山をしていないというか、急な登りを歩いていないとさらにきつく感じるような気がします。
どうしてきついか?
では、どうして「きつい」のでしょうか?考えた事はあるでしょうか?
これは、登山中の心拍数の記録をとっていると明白なのですが、急な登りでは心拍数が跳ね上がるのが大きな理由だと思います。これは、体を上に持ち上げる動作がきつくなるわけです。ペースを落とせばよいのですが、ある程度ペースが落ちてくるとそれ以上「ゆっくりと動く」事は難しくなってきます。つまり、ペースを落とすと言うよりは、「立ち止まる」と表現する方が妥当な状態になるというわけです。スローモーションのような動作は、余り楽ではないという事です。
ウエイトトレーニングをした事がある方は何となく感覚としておわかりいただけると思いますが、一般に筋肉の伸張、収縮運動はゆっくりとやるほうがきついのです。つまり、ある程度勢いをつけてやったほうが楽に感じる事が多いと言う事です。
そこで、急な登りで起きる事は、登る動作を続ける事で、直ぐに心拍数が上昇して苦しくなるので、立ち止まって、呼吸を整える(心拍数を下げる)事で運動を続けられるようにしているわけです。この休息期間に運動で発生した乳酸を処理しているわけです。
急な登りの運動強度は、乳酸閾値を上回るために、立ち止まって体内の乳酸を処理して、呼吸で補えない酸素の補充をしないと運動を続ける事ができないわけです。
登山の運動パターン
登山の運動パターンはどのようになるかといえば、「山あり谷あり」とう言葉がありますは、要はそういうことになります。稜線の縦走などは、アップダウンを繰り返す事が多いですし、単純な山頂往復みたいな場合でも、登って、降りるというのは極普通のパターンだと思います。
アメリカのハイキングコースは、比較的そうした極端な急な登りは無い様にトレールが作られている気がします。特に、San Francisco近郊の丘陵につけられたトレールではそうした、急登は余りみられません。従って、それほど大きな心拍数の上下動余りないと思います。しかし、「登山」コースになると、急な登りを余儀なくされる事が多くなるなど、ちょっとした違いがあるように思います。
日本の場合は「登山」となると、そこそこの急な登りが現れるのは比較的普通だと思います。
事前対策として
そうした、起伏が激しいコースの場合は、実際の登山で想定される心拍数の上下をある程度トレーニングで体験して、改善すると言うトレーニングを行う事ができれば、実際の登山で、バテたり、極端に辛い思いをするのを改善することができると思われます。
そうした場合に、効果があるとされているのが、「インターバル」トレーニングです。これは、意図的に、心拍数を上げる部分と、上がった心拍数が下がるように休息する部分にわけて、これを繰り返すというトレーニングです。ランニングなどのトレーニングとしては広く行われているトレーニングで、きついですが、効果も高いとされている方法です。
冒頭の心拍数のグラフですが、これは、1000mを5本行ったランニングのためのトレーニング時の物です。これは、ランニングのために行っているため内容的には結構きついトレーニングです。 ピークの心拍数は180回/分程度まで上がっており、これは私の最大心拍数に近い値です。ベースの心拍数は150回/分程度です。
最大心拍数近くまで心拍数を上げる事は結構大変で、毎回全力に近いペースで走らないとなかなかこのレベルの心拍数までは達しません。そうすると、体にかかる負荷も高く、故障する危険性も高いですし、心臓などにかかる負荷も増加します。従ってこの手のトレーニングをする場合は、充分気をつけて、場合によっては医師によるアドバイスも受けた方が良いと思います。
しかし、一般に登山のトレーニングとして行う場合は、ここまでの負荷をかける必要性は少ないと思います。
登山の場合、できれば心拍数をこのレベルまで上げるのに、平地でスピードを出すよりも、少し斜度の強い坂で実施するほうが、それほど速くないペースでも目標の心拍数に達する事ができます。また、心拍数も最大心拍数まで上げる必要性は少なく、もう少し低い心拍数で実施する方が、過剰な負荷を体にかけずに、長続きさせるための、大事な考え方だと思います。
頻度は?
このトレーニングは一般にきついですし、体への負担も大きいので、目的が登山などであれば、週1回とか、2週間に1回でも充分効果は上がると思います。大事なのは、長期間続けて行くことであって、できればそのデータを蓄積していけば、より効果的な負荷も設定できるようになると思います。
それほどの、頻度も必ずしも必要でないのならば、このトレーニングは実際に山に行くことでも換える事が可能だと思います。先にも述べましたが、実際の山歩きではこうした心拍数の変化が起きているので、自然と実践できてしまうのが良いところです。加えて、登り、下りで必要とされる筋肉も同時に鍛える事が可能になるからです。
お手軽ハイキング以上を目指す方は、ちょっと大変ですがこうした、トレーニングを導入することでより、楽な感覚で登山やハイキングを実践できるようになるのではと思います。
トレーニングの方法はいくつかありますが、いろいろ試してみるのが一番だと思います。いろいろ試してみてください!
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