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Mt. Whitney 登山を科学する (8) ~ 上限心拍数を考える その3

Mirror Lakeの上部

読者の方のMt. Whitneyの許可は如何でしょうか?時々予約サイトを除いていますが、ちらほらと空きが出ては消えているようです。今の所希望の日程ではまだ空きが出ていないので、私も今年はまだ許可が取れない状況です。

今日も引き続き心拍数ベースの登山方法について考えていきます。



上限心拍数の決め方について考える
これまで、私自身の上限心拍数についてデータの解析、検討を書いてきました。
今日はもう少し一般的な上限心拍数について考えてみる事にします。このブログでは何回か触れていますが、心拍数と運動強度には相関関係があって、それに基づいてランニングの世界では心拍数を基にしたトレーニング手法が確立されていて、広く実践されています。
この心拍数トレーニングでポイントになるのが乳酸性閾値(Lactate Threshold, LT)相当の心拍数です。この値は一定ではなく、体調や他の要因である程度の範囲で変動するとされています。また、これに相当する心拍数はトレーニングによって、より高い心拍数へ改善するとされています。
登山中の上限心拍数を決めるには、このLT相当の心拍数が基準になります。基本的にLT以下の心拍数で運動すれば、ある程度長い時間運動が継続できるという事になります。以前にも書いていると思いますが、LT相当以下の心拍数ならば無限に運動できるかと言うと、運動の継続には他の要因もあるので、無限に運動の継続はできませんが、長時間の運動を続ける一つの要因である事は間違いありません。
昨日までの話で、LT以下の心拍数であればある程度休憩時間も減らすことができるわけで、LTより高い心拍数で運動する場合、ある時点で基本的には休憩する必要がでてきます。
登山の場合は、全体の行動計画に基づいてこのバランスをうまくとって行動する必要がある事は前回の投稿で述べた通りです。

LT相当の心拍数は?
LT相当の厳密な測定は、それなりの設備のあるところで行う必要があるので余り一般的ではありません。そこで、一般的に行える方法として、普段のトレーニングや以前の登山の記録などからLT相当の心拍数を推定する方法です。あくまで推定ですが、LT相当の心拍数は一定ではなく、変動する事も考えれば、それなり意味がある方法だと考えられます。
まずは、一般論から見てみます。インターネットで心拍数トレーニングの検索をするといろいろな情報が出てきます。まずは、それらを参考にすることにして、一つの例として、最大心拍数から推定する方法を見てみます。ここでは、Wikipediaの記述を参考にしてみます。(この値が妥当かどうかの検証はしていません)これによれば、有酸素性作業閾値の心拍数は、「最大心拍数の65%程度」としています、この値はLT相当値の心拍数と近いと考えられるのでとりあえず、この値を出発点に使うのが良いと考えられます。もともと、最大心拍数も正確に把握するのは難しいので、いずれにしても、このLT相当の心拍数についても幅を持たせて考える必要があります。

では、この仮定の基に、私のケースを見てみる事にします。私の最大心拍数は過去のトレーニングから推定すると、毎分180回前後、或は一般的な推定値の式、「220-年齢」で計算すると、今時点で私は49歳ですので、毎分171回という事になります。これから計算すると、最大心拍数を毎分180回とした場合毎分117回、最大心拍数を毎分171回とした場合毎分111回という事になります。私の場合、この値は実際のLT相当値よりは低いと考えられます。理由は、心拍数を130回前後に抑えれば、相当に長い時間運動が継続できることは過去のトレーニングからわかっているので、少なくても計算出てくる値よりは高いと考えられます。一般的に日常的に、持久力を高めるようなトレーニングを実践している人の場合、最大心拍数の65%よりは高い値になると考えられています。普段、持久力強化のトレーニングをしている人は、できれば心拍数のデータを取って、まずはそこから長時間持続可能である(概ね2~3時間)心拍数を見つけるのが良いかと思います。
普段、あまり持久力のトレーニングをしない方や、そうしたデータが無い方はまずは、この計算から求められる心拍数を基準にして試してみるのがよいかと思います。


次回はトレーニングのデータから推定する方法を考えてみる事にします。

(つづく)

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