ヨセミテ国立公園
7月に入って本格的に夏山シーズンになりました。アメリカでは既に、子供たちの学校は夏休みですが、日本でももうすぐ夏休みで、本格的に登山のシーズン到来です。7月1日に山開きだった所も多く、たくさんの方がこの夏登山をされると思います。
さて、このブログでは少し前から、ランニング用のGPS付時計や、活動量計を使って、登山中の心拍数をモニターしながら、心拍数を目安に登山中のペースを管理する方法を提唱してきました。
おかげさまで、この春、私自身の過去のMt. Whitney登山のデータを基に、アマゾンの電子書籍であるキンドルでこれに関する本、「ハイテク登山術」という本を出版する事ができました。日本では、高山病の影響が顕著に表れる山は、余りないのが現状だと思いますが、登山者以外でも多くの人が登る富士山では、この手法は有効ではないかと考えられます。私も、この方法に関するデータをもっと集めたいので、このブログを通してデータの提供をお願いしています。もし、富士山登山中の、GPSウォッチのデータを心拍数のデータと共に記録を取っていらっしゃる方がいましたら是非データを共有して頂けると助かります。
できれば、この本を読んでいただきたいと思うのですが、富士登山に関して、質問も多く頂いていますので今日は、簡易版のペース管理の仕方を紹介します。この内容は、先の本でも述べられています。ぜひ、富士山に行かれる方は参考にしてください。
1.年齢から最大心拍数を推定する
広く使われている、推定の方法は、最大心拍数が、「220-年齢」という式で簡易的に推定できるという方法を使います。私は50歳ですので、220-50=170という事で、推定の最大心拍数は、毎分170回程度という事になります。実際は、この値はその人の体力とか普段の運動実績によってかなり幅がある物ですが、簡易的にはこの数値を基に推定する事である程度の目安になることが過去のデータからわかってきています。(あくまで、一般的ではなく私個人のデータに基づいています)
2.心拍ゾーンを計算する
次に表計算ソフトなどで、心拍ゾーンの計算をします。この最大心拍数に対する50%から100%に当たる心拍数を、10%刻みで計算します。すなわち、50%、60%、70%、80%、90%、100%の値を計算して、それぞれのゾーンの範囲を調べます。50%~60%の範囲をゾーン1として、10%毎に次のゾーンになって、90%~100%がゾーン5となります。
以下が私の例です。
心拍ゾーンの例
3.歩行ペースの目安経験的に、この心拍数ゾーンの3かそれ以下の心拍数に収まるように行動します。すなわち、70%~80%の範囲またはそれ以下の心拍数ということで、私の場合、毎分119回から136回の範囲を基準に、それ以下で行動するという方法です。
4.心拍数の測定
ガーミンなどの活動量計、アップルウォッチ、ランニング用のGPS時計などで、自分の心拍数をモニターできますので、心拍数をチェックしながら行動します。ランニング用の物は、心拍数が範囲を外れるとアラームや、振動などで知らせる機能がついていますのでそれを利用すると便利です。
5.心拍数が上がり過ぎた場合、ペースを落とすか、立ち止まるなどして、心拍数を下げながら行動します。ただし、心拍数を越える場合が多くなったり、少し立ち止まる程度では心拍数が下がらなくなった場合は休憩を取って、十分に下がるまで休みます。
休憩をとっても心拍数が余り下がらなくなる場合は、体力的に登山を継続することが難しいと考えられますので、下山を考慮する必要があるかと思います。
特に、吐き気や、頭痛など酷い自覚症状がある場合は、下山する方が無難であると考えられます。特に自覚症状が無くても、心拍数が高止まりして下がらない状態は、体が悲鳴をあげていると考えられるので、下山する必要がある場合が多いかと思います。
よく、高山病対策で「ゆっくり登る」というのがありますが、どの程度ゆっくり登るかははっきりわからない場合が多いのですが、この心拍数を基にした方法は具体的なので判りやすい方法だと思います。恐らくこのペースは、歩き初めなどはかなり楽に感じられる場合が多いと思いますが、3000mを越える標高では、自分の感覚とズレも大きいので、このペースを基に、自分の体力に応じて調整すると最適なペースを見つけやすいと考えられます。
実際に実践された方は感想や、各自のデータを頂けると助かります。
それでは、楽しい登山を!
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