以前の投稿を再構成してお届けしています!
Mt. Whitneyハイキング中のGPSのデータの解析結果
Mt. Whitneyを上るのに一番一般的なルートMt. Whitney Trailを2018年に歩いた時の記録を詳しく見た結果を記事にしています。
第一日目は、Mt. Whitneyの登山口であるWhintney Portalからトレールキャンプまでの約10㎞強の行程です。 登山口のWhitney Portalの標高は2550mで、トレールキャンプの標高はおよそ3600mです。
この日の、行動時間の合計は271分(4時間31分)でした。そのうち休憩時間は14.2分です。
過去のこの区間の所要時間を比べてみると以下の表のようになっています
所要時間(分) | 休憩時間(分) | 備考 | |
---|---|---|---|
2011 | 264 | 56 | 特にペースを管理せず |
2014 | 276 | 65 | |
2015 | 266 | 64 | 心拍数によるペース管理 |
2016 | 310 | 81 | 心拍数によるペース管理 |
2018 | 271 | 14 | 心拍数によるペース管理 |
所要時間に大差はありません
実際に各年のこの行程の所要時間を見てみると余り大きな違いはありません。 概ね4時間半から5時間強の範囲内におさまっています。
大きく違うのは、実際の感覚です。この中で、2011年は非常に疲れたという印象が強く、トレールキャンプ到着時はかなりばてていました。一方で、2018年は楽に登れたという感覚です。年齢とともに体力が落ちていることを考えると意外な結果です。
違いはペース配分!
2011年に登った時は特にペース管理をしていませんでした。 感覚に頼ったペースで前半は快調に歩けましたが、後半アウトポストキャンプ(標高約3000m)を過ぎたあたりから、大幅にペースが落ちてトレールキャンプ到着前にはかなりばてた状態で到着した感じでした。
一方で2018年は、歩き初めに心拍数が高くなってしまいました。感覚的にはまだ余裕があったのですが、心拍数が上がった時点でペースを落として意識的に心拍数を抑えるように行動しました。その結果、感覚的にはとても楽に登ることができました。相当ゆっくりあるいている感覚でしたが、実際の所要時間は決して遅いわけではなく、休憩時間も14分ほどでした。
心拍数の推移は以下のような感じでした。歩き始めてすぐに、心拍数が毎分150回を超えてしまい時折毎分160回を超えることもありました。
心拍数が毎分150回から160回というのは、少し遅めのペースで5~10kmを走る時の心拍数です。考えてみると結構な運動量ですよね?そこで、できるだけ心拍数が毎分150回前後で抑えられるように行動しました。標高3000mを超えてからはさらに、意識して心拍数を毎分145回から150回以下を目安に調整しました。実際の推移をみると、それでも完全に調整することは難しく予想より高い心拍数分布になっています。
実際に行動している感覚としては、まだ余裕がある感じで少し遅すぎるかなと思う感じでした。恐らく心拍数を見ていなければ、もっと速いペースで行動しているのは明らかでした。
心拍数の推移を見て頂ければお分かりかと思いますが、休憩をしても心拍数が毎分110回を少し下回る程度までしか下がりません。
参考までに歩行スピードの推移も載せておきます。標高3000mを過ぎてからは歩行速度がさらに抑えられているのがわかるかと思います。
標高の推移は以下のようになっています。後半の3分の1くらいが標高3000mを超える部分で横軸のスケールは心拍数、歩行スピードも同じです。
2011年の同じようなデータはありませんが。。。。
2011年の登山の際はまだ、登山中の心拍数のデータを取っていなかったので記録が残っていません。 しかし、前半は快調に歩いて、標高3000mを超えたあたりから急にばてたという感じでした。
休憩時間のデータはGPSで計算した歩行速度が毎分20mを下回る部分を休憩としてみなしています。(これに関しては2011年も同様です)
2011年の全体の休憩時間は約1時間(56分)ですが、2018年は14分です。約4分の1の休憩時間です。
大きな違いは、2011年の場合、3000mを超えた部分の行動は数歩歩いては立ち止まって呼吸を整えるというような歩き方でした。前半はほとんど立ち止まる事もなく、途中腰を下ろして5~10分程度の休息をとっただけです。そう考えると後半の2時間弱のうち、30分以上は立ち止まったり、休憩している時間ということになります。
逆に2018年のハイキングは、ゆっくりのペースですが、それが継続されているため結果的には所要時間ではほとんど同じで感覚的には楽に登れたという結果になっています。
標高2500m以上のでの行動は意外に心拍数が上がっている!
2018年のデータからもわかりますが、標高2500m以上での行動はすでに心拍数が通常の登山やハイキングより高い状態ということです。2500m~3000mを少し超える間の行動は、高山病の自覚症状も殆どでない場合が多いため、普段と同じような感覚で歩きがちになります。実際に感覚的にあそれほどきつく感じないので問題なくそのペースで行動してしまいます。
ところが、心拍数を基準に考えると通常の標高ですこしきつめのランニングをする程度の負荷はかかっています。つまりオーバーペースということです。
一方で3000mを超えると高山病の自覚症状があらわれてくる場合が多くなります。
標高が高くなって高山病のためにペースが落ちていると考えがちですが、心拍数の推移をみると、実際はそれ以前のオーバーペースが原因でばてているという場合が実は多くなっています。
実際に前半心拍数を見ながらペースを抑えた場合は後半のばては最小限で済んでいます。
まとめ
高山病の予防自体は余り手段はありません。実際は時間をかけてその高度に順化するというのが一番良い方法だといえます。しかし、心拍数を見ながら「体への負荷」を調整することで、オーバーペースによるバテはある程度抑えることができます。
多くの方が高山病による影響でバテたと考えると思いますが、実際は標高が影響した「オーバーペース」が原因のバテというケースが多いと考えられます。
心拍数で、体への負荷を中心に考えてペースを調整できると、オーバーペースは結構防ぐことは可能です。
ちょっとした工夫ですが、心拍数を見ながらペースを調整すると標高が高い場所でのハイキングを快適にすることは可能です。
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